ホームページ制作ツールの比較は、機能の一覧まではすぐそろいます。料金表を並べ、「ブログが書ける」「予約ができる」までは確かめられる。それでも決めきれないとき、足りないのはたいてい機能の情報ではありません。
止まるのは、公開した翌月のことが空欄のままだからです。
- 誰が文章を差し替えるのか
- 予約や決済を、どの方法で足すのか
- 表示が崩れたとき、どこへ連絡するのか
先に結論です。唯一の正解はありません。分かれ目は自由度の大きさではなく、必要な機能を誰がどう足し、公開後の運用を誰が受け持つかです。
- コンテンツと独自の機能を長く増やしたい。更新・バックアップ・障害対応を自社か委託先で持てる → WordPress.org
- 予約・EC・イベントを、1つのサービスの中で組み合わせたい → Wix
- ページ数の少ない事業サイトやLPを、早く公開したい → ペライチ
- デザインと、社内でのCMS更新を両立したい → Studio
この並びは、予算・更新の担当者・プラン・外部連携・今ある資産で入れ替わります。この記事では、その入れ替わりを自分で判断できるように、比べる軸、総コストの見方、契約前の6つの質問を順に置いていきます。
この記事のWordPressは、自分で選んだサーバーに入れるセルフホスト型(WordPress.org)です。サーバー込みのWordPress.comとは形が違うため、同じ条件では比べていません。
仕様は2026年7月に、各社の公式ヘルプと料金ページで確かめた内容です。料金・プラン・上限・手数料・サポートの条件は変わります。契約前に公式ページを確かめてください。

4サービスは「受け持つ範囲」で分かれる

機能の名前から比べ始めると、同じ言葉が違う意味で並んでしまいます。先に、サイトを公開する土台と、運用の責任がどこにあるかをそろえましょう。
- WordPress.org:ソフトとサーバーを自分で組み合わせるCMS(更新用の管理システム)です。テーマ、プラグイン、REST API(外部と連携する仕組み)など、広げる手段があります。その代わり、構成の選択と、更新・バックアップの設計は使う側の仕事です。
- Wix:サーバー込みの統合型です。CMS、アプリ、SEO設定を1つのサービスの中で組み合わせます。必要ならVelo(Wixのコード拡張)も使えます。使える機能と料金は、プラン・地域・アプリの条件で変わります。
- ペライチ:ブロックを積む編集で、少ないページの事業サイトやLPを作る国産サービスです。CMS(ブログ)機能もあります。ただし今の案内では、ビジネス・プロフェッショナルプランが対象で、1アカウントにつき1つです。
- Studio:デザインの編集とCMSの運用をひとつにしたノーコード(プログラムを書かない)サービスです。くり返し更新する情報を扱えます。一方で、カートや決済の機能はなく、外部サービスとの連携が前提です。
読み違えやすいのは「含まれる範囲」です。
WordPress.orgは自由な分、運用に組み込む作業があります。更新前のバックアップ、互換性の確認、障害時の連絡先です。ほかの3つは、土台の保守がサービス側に移ります。それでも、記事の更新、フォーム通知の設定、外部連携、品質の管理は残ります。
「作る作業」と「公開後に残る作業」を分けて数えると、比較が実際に近づきます。
判断に効く5つの軸を表で見る

優劣の順位表ではありません。何が標準の機能で、何がプランの機能で、何をアプリ・外部連携・独自開発で補うのか。それを読むための表です。出典は最後の参考情報にまとめています。
| 比較軸 | WordPress.org | Wix | ペライチ | Studio |
|---|---|---|---|---|
| 公開基盤と保守 | 自分で契約し、更新・バックアップ・障害対応を設計 | 含まれる。基盤保守はWix側 | 含まれる。基盤保守はペライチ側 | 含まれる。基盤保守はStudio側 |
| CMS | 投稿・固定ページを基本に構造を拡張できる | コレクションと動的ページ | ビジネス・プロフェッショナルが対象。1アカウント1CMS | ニュース、ブログ、採用、事例を標準で扱える |
| 予約・EC・イベント | プラグインまたは独自実装 | Stores、Bookings、Eventsなどのアプリ | プランに応じて決済・予約・メルマガ | カート・決済はなく外部連携 |
| コードでの拡張 | テーマ、プラグイン、REST API | VeloでJavaScriptとWix API | 対象プランでタグ追加。コードはサポート対象外 | Embedと有料プランのカスタムコード。HTML直接編集と出力は不可 |
| 解約前に確認する項目 | ドメイン、データベース、画像、保守の引き継ぎ先 | ドメイン移管、書き出し、リダイレクト | ドメインの扱い、内容の保存、公開が止まる時期 | ドメイン移管、CMSデータの書き出し、デザインの再現 |
いちばん下の行は「各サービスがこう対応している」ではありません。契約前に自分で問い合わせる項目です。4サービスのエクスポート(データの書き出し)を同じ条件で比べた資料はありません。そのため、移行のしやすさに順位は付けていません。
すでにStudioを使っている場合は、公開サイトの土台がどちらかも確かめましょう。新しい土台は、2026年6月11日以降に作ったプロジェクトで標準と案内されています。それより前のプロジェクトは、切り替えていなければ古い土台のままのことがあります。
選び方を分ける6つの違い

表で全体を見たら、判断が実際に割れる6か所に、自社の答えを書き込みます。
1. サーバーの運用を自分で持つか、サービスに含めるか
WordPress.orgは構成を決めやすい反面、更新前のバックアップと障害時の連絡先を運用に組み込みます。
Nutritsのホームページ制作は、独自テーマのWordPressで作っています。保守では、WordPressの更新とバックアップを続けて管理しています。WordPressを選ぶなら、この作業を誰が続けるかまで決めておきましょう。
2. CMSで何を、どれだけ管理するか
今ある記事の数ではなく、半年後に増える予定の数で見ます。ペライチは「CMSがない」のではなく、「条件付きである」が正確です。
3. 予約・EC・イベントを、どの方法で足すか
足し方はサービスごとに違います。
- Wix:アプリ
- ペライチ:プランの機能
- Studio:外部サービスとの連携
- WordPress:プラグインか独自の開発
入れたあとの更新を誰が見るかまで決めてから、足しましょう。
Nutritsが支援した、アクセサリー作家のECサイトの例です。WooCommerce(WordPressのEC機能)とStripe(決済)で作りました。WordPressに、ECの機能と決済のサービスを組み合わせて足した例です。
4. デザインとコードを誰が触るか
ペライチは、対象のプランならheadやbodyにタグを足せます。ただし、ほかの機能とぶつかる場合があり、コードそのものはサポートの対象外です。
StudioはEmbed(埋め込み)と、有料プランのカスタムコードが使えます。ただし、ページのHTMLを直接編集したり、書き出したりはできません。
5. SEOは機能の数ではなく、設計と運用で見る
3つのサービスは、タイトルやメタ情報(検索結果に出る説明など)の設定項目を案内しています。でも、設定画面の数で順位は決まりません。設定できることは、集客の成果を約束するものではありません。
6. 公開後の担当とサポートの範囲を先に決める
他社のアプリや埋め込んだコードは、サービス本体のサポートの外になることがあります。
通信の暗号化も各社が案内していますが、サイト全体の安全が約束されるわけではありません。WixはHTTPSが自動で有効になります。StudioはTLS証明書(暗号化通信の証明書)を自動で発行・更新します。ただしStudioには、DNS(ドメインの接続先)の設定などで更新に失敗する例外が案内されています。
社内の導入審査が厳しい場合は、情報システムの担当者が確かめてください。各社の最新のセキュリティ資料と、自社の要件を照らし合わせます。
料金は月額ではなく、年間の総コストで比べる

WordPress.orgのソフトは無料で手に入ります。でも、サイトの運用が無料という意味ではありません。社内に技術の担当がいなければ、保守や更新を頼む費用が総額の中心になることもあります。
ほかの3つ(SaaS。ネット経由で使うサービス)も、プランの料金だけでは終わりません。条件によって、独自ドメイン、上限の引き上げ、アプリ、決済手数料、外部連携が加わります。
同じ表に並べる費目は、次の6つで足ります。
- 初期費用(制作、初期設定、原稿・画像の準備)
- 12か月分の利用料(プラン料金を年額に直す)
- 保守(更新、バックアップ、障害対応を頼む費用)
- 有料の拡張(テーマ、プラグイン、アプリ、オプション)
- 決済手数料(予約・EC・イベントを使う場合)
- 移行費(データの整理、リダイレクト、公開の切り替え)
料金ページを開く前に、次の3つをそろえておきます。
- 請求の周期:月払いか、年払いを月に直した金額か
- 税:税込か税別か
- 手数料:料金と別になっているか
Studioは年払いと月払いで表示の金額が違います。Wixは地域・契約期間・税で表示が変わると案内されています。いちばん安い価格だけを比べてから機能を足すと、判断がずれます。候補の2つを、同じ要件で見積もりましょう。
目的から引くと、候補は絞れる

サービスから入ると迷います。目的から引くと、候補は絞れます。
| 主な目的 | まず検討する | 条件が合えば候補 | 先に確認すること |
|---|---|---|---|
| ブログ・事例を増やし、機能追加も想定する | WordPress.org | Wix、Studio、ペライチのCMS | 増やすページ数と編集する人数 |
| 予約・EC・イベントを一つの管理画面に寄せる | Wix | ペライチ、Studio、WordPress | 必要な予約・決済方式と手数料の合計 |
| LP・小規模サイトを短期間で公開する | ペライチ | Wix、Studio | 将来のページ数と、ブログ・決済の必要性 |
| ブランドサイト・採用サイトを社内で更新する | Studio | WordPress、Wix | 更新頻度と、デザイン・文章の担当分担 |
第一候補には、受け入れる制約も付いてきます。
- WordPress.org:更新・バックアップ・障害対応の設計
- Wix:地域やプランによる違い。他社アプリのサポート範囲
- ペライチ:公開できるページ数の上限と、CMSの条件
- Studio:決済は外部連携。HTMLを直接編集できない
使いやすさやデザインの質を、4サービスで客観的に順位付けできる共通のデータはありません。だからこそ、同じ原稿・画像・スマホ表示で試作して比べます。
契約前に答える6つの質問と、同じ条件での試作

次の6つに文章で答えられれば、候補は絞れます。答えが出ない項目があれば、それが先に決めるべきことです。
- 半年〜2年で、どのページやコンテンツを増やす予定か
- 予約・決済・会員・イベント・メルマガのうち、何が必須で、何が外部連携でもよいか
- 誰が毎週・毎月、文章・画像・フォームを更新するか。使える時間は月に何時間か
- サーバー、バックアップ、障害対応を誰が受け持つか。頼む場合の連絡先と対応時間は
- 前の章の6つの費目で計算した、年間の総コストはいくらか
- 解約・移行のとき、独自ドメイン・データ・画像・リダイレクトをどう扱えるか
候補を2つに絞ったら、同じ要件で4ページを試作します。トップページ、サービスページ、問い合わせページ、ニュース1件です。
比べるのは見た目だけではありません。実際に触って、迷ったところと作業時間を記録します。
- 文章の差し替え
- 画像の更新
- フォームの通知
- スマホでの表示
- SEO設定の場所
公開はしなくて大丈夫です。プレビューで確かめれば十分です。
最後に、選んだ理由、見送った要件、見直す条件、保守の担当、年間の予算、移行時の確認事項を1枚に残します。担当者が替わっても理由を説明でき、新しい要件が出たときも比べ直しやすくなります。
よくある質問
SEOに強いのはどれですか?
ツールの名前だけで検索順位は決まりません。どれを選んでも、情報の設計、コンテンツ、表示の体験、続ける運用が必要です。
無料プランのまま事業サイトを運用できますか?
操作を試したり、試作したりするには役立ちます。一方で、独自ドメイン、広告の表示、公開ページ数、CMSやフォームの上限が、事業の要件を満たすかは別の話です。契約前に、各社の料金ページで確かめてください。
後から別のツールへ移行できますか?
「できるかどうか」だけでは判断できません。独自ドメイン、記事のデータ、画像、フォームの履歴、リダイレクト、デザイン、カスタムコードに分けて確かめます。
書き出しの条件を同じ基準で比べた資料はないため、「簡単に完全移行できる」とは言えません。移行する可能性が高いなら、候補を絞った段階で、各社のヘルプか窓口で確かめてください。
まとめ:ツールより先に、運用体制を1枚に書く
4つのサービスは、性能の順位ではなく、受け持つ範囲の違いで並びます。判断の材料は次の5つです。
- 必要な機能
- 更新の担当者
- 保守の体制
- 年間の総コスト
- 半年〜2年後の要件
この5つが埋まれば、候補は2つまで絞れます。
今日は、次の6つを1枚に書き出すところからで大丈夫です。公開の速さ、更新の頻度、必要な機能、保守の担当、年間の予算、移行の条件。候補を2つに絞り、同じ4ページを試作する。それから契約の条件と料金ページを確かめる。この順番なら、選び直しが減ります。
参考情報
料金、プラン、上限、サポート条件は変わり得ます。契約・公開前に各社の最新ページを確認してください。
- WordPress:WordPress.comとの違い/機能/REST API/更新
- Wix:ホスティング/CMS/App Market/Velo/SEOページ設定/HTTPS・SSL/料金
- ペライチ:料金・プラン/CMS(ブログ)機能/SEO対策/タグの埋め込み/ページ編集
- Studio:料金プラン/Studio CMS/SEO対策/カート・決済/HTMLの編集・追加・出力/TLS証明書の自動更新/公開サイト基盤
候補を絞る前の相談も受け付けています
「どのツールにするか」より先に、必要な機能と更新の担当を整理したい段階でも大丈夫です。今のサイト、増やしたいコンテンツ、社内で更新できる範囲をお聞かせください。比べるべき候補と確認する項目を、一緒に整理します。
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- 01現状の課題を可視化
- 02改善の優先順位をご提案
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リクマ
6つのうち後から変えにくいのは、CMSの構造と機能追加の方法です。デザインは作り直せますが、記事や事例のデータは移すほど手間が増えます。迷ったらこの2つを先に決めてください。