
「お客様の声を載せたいけれど、いざお願いするとなると気が引ける」「頼んでも『良かったです』のひと言しか返ってこない」。お客様の声を集めようとすると、こうした悩みが出てきます。
お客様の声は、ほめ言葉を並べる欄ではありません。問い合わせようか迷っている人が、自分と似た立場の人の体験を知って、判断するための材料です。知りたいのは、次の4つです。
- どんなことに困っていたか
- なぜ選んだか
- 進めている間、どうだったか
- そのあと何が変わったか
この記事では、お願い、質問、編集、掲載の許可、見せ方、計測までを、ひと続きの運用としてまとめます。そのまま使えるお願いの文面と質問も載せているので、自社に合わせて使ってください。
お客様の声が、申し込み前の不安を減らす理由
問い合わせる前の人の不安は、具体的です。
- 「予算が合うだろうか」
- 「専門用語ばかりで、話が通じないのでは」
- 「途中で放っておかれないか」
サービス紹介のページは自社の言葉で書かれているので、こうした不安には直接答えにくいものです。
そこで役立つのが、同じ不安を抱えていた人の言葉です。たとえば「最初は費用が心配だったが、優先順位を相談しながら決められた」という声。これがあれば、読む人は依頼したあとのやり取りを具体的に想像できます。自社の説明と利用者の体験を組み合わせると、比べて検討するのに必要な情報が増えます。
ただし、載せれば必ず成約率が上がるわけではありません。読む人とずれた声を並べても響きません。ぼんやりした感想が続けば、読み飛ばされます。「置いて終わり」ではなく、内容と置き場所を調整し続ける前提で考えるのが現実的です。
もう1つ、押さえておきたい前提があります。消費者庁の表示に関するQ&A(Q15)に、こんな考え方が示されています。購入者から届く体験談は、ふつう、商品やサービスの一般的な効果を客観的に証明する根拠にはならない。
つまり、お客様の声は「このサービスは誰にでも同じ効果がある」という証明書ではありません。あくまで、その人の体験談です。この線引きを意識すると、あとの編集や表示の判断がぶれにくくなります。
集める前に決める4項目
お願いを始める前に、次の4つを決めておくと、集めるのも載せるのもスムーズです。
- 誰の不安を減らしたいか:「初めて外部に制作を頼む小さな事業者」「他社からの乗り換えを考えている担当者」など、読む人を具体的にします。読む人を決めると、誰にお願いするかも自然に決まります
- どのサービスにひもづく声か:制作、運用、改善など複数のサービスがあるなら、声もサービスごとに管理します。あとでページに置くとき、対応がはっきりします
- 載せる場所と形:トップページの短い引用か、事例ページの詳しいインタビューか。文字だけか、写真やロゴも使うか。形によって、お願いするときに伝える内容が変わります
- 名前の出し方と許可の取り方:実名・社名・イニシャル・匿名のどこまで選べるようにするか、写真やロゴを使うかを先に決めます
お願いの前に「誰の声を、どこに、どの範囲で載せるか」を決めておくと、あとからの確認漏れを防げます。
お願いするタイミングと、そのまま使える文面
お願いしやすいタイミングは、大きく3つです。
- 納品やサービスが終わった直後:体験の記憶がはっきりしている
- 成果や変化が見え始めた少しあと:変化を語ってもらいやすい
- 契約の更新や、追加の相談のとき
契約の更新は、何が評価されたのかを知れる場面でもあります。Nutritsでも2026年2月に、既存のお客様の契約が更新されました。このとき高く評価されたのは、アクセスレポートでした。
お願いの文面では、次のことを先に伝えます。相手が「受ける・受けない」を安心して決められる情報をそろえることが大切です。
- かかる時間
- 断っても不利益がないこと
- 載せる場所
- 名前の出し方
- 編集したあとに確認してもらうこと
- お礼があるかどうか
次のひな形では、[ ]の中を自社とお客様の情報に置き換えてください。
件名:お客様の声(アンケート)へのご協力のお願い
[お客様名]様
先日は[ご支援内容]の件でご一緒させていただき、ありがとうございました。
今回の取り組みについて、これから検討される方の参考になるよう、
お客様の声としてご感想を伺えないかと思いご連絡しました。
・所要時間:5つの質問に、合計10分ほどでお答えいただけます
・ご協力は任意です。お断りいただいても、今後のお取引や対応に影響はありません
・掲載予定:当社ウェブサイトのお客様の声ページ、事例ページ、
および会社案内・提案資料での引用を予定しています
・お名前の表示:実名+社名/社名のみ/イニシャル/匿名(業種のみ)から
お選びいただけます。写真やロゴの使用も任意です
・読みやすさのために誤字修正や短縮を行う場合がありますが、
最終原稿をご確認いただき、ご承諾をいただいてから掲載します
・謝礼はありません
ご負担のない範囲で構いませんので、ご検討いただけましたら幸いです。
お礼を用意するなら、内容と条件をお願いのときに書きます。載せるときの表示も含めて、消費者庁の指針や業界ごとのルールを確かめてください。お礼のことを書いただけで、すべての表示が適切になるとは限りません。
具体的な声を引き出す5つの質問
「ご感想をお願いします」とだけ聞くと、ぼんやりした答えになりがちです。時間の流れに沿って聞くと、読む人が知りたいことが自然に出てきます。

- 依頼の前は、何に困っていましたか:読む人が自分と重ねるための入口です。状況と困りごとを具体的に聞きます
- 比べて検討していたとき、不安だったことは何ですか:費用、進め方、相性など、問い合わせる直前の不安を確かめます
- 依頼の決め手は何でしたか:選ばれた理由が言葉になり、自社の強みの棚卸しにもなります
- 進めている間に、印象に残ったことは何ですか:やり取りの様子が伝わり、「頼んだあと」を想像しやすくなります
- 依頼したあとに変わったことと、どんな人に勧めたいかを教えてください:その人の変化と、勧めたい相手を分けて聞くと、大げさにせず具体的にできます
答えが短いときは、「そのとき、どう感じましたか」「具体的には、どんな場面でしたか」と、一段だけ掘り下げます。書くより話すほうが答えやすい方には、打ち合わせの最後に口頭で伺い、こちらで文章にする方法もあります。
Nutritsにも、選んだ理由が言葉になった例があります。2023年に制作した、ふじみ野市の居宅介護支援事業所のホームページです。この事業所に採用された方は、理由を「ホームページの雰囲気が良かったから」と話していました。
これはお客様ではなく、応募した方の言葉です。この例だけで、ホームページの効果とは言い切れません。
答えを読みやすく整える書き方
いただいた答えは、意味を変えない範囲で整えます。
- してよい編集:話し言葉の整理、重なりの削除、誤字の修正、長すぎる部分の短縮
- しない編集:ニュアンスを強める、言っていない効果を足す
並べる順番は、質問と同じ「課題 → 検討中の不安 → 決め手 → 進めている間の体験 → 変化」が読みやすい形です。最初に、その声の要点を1行の見出しとして添えると、流し読みでも伝わります。
数字を引用するなら、対象の期間・比べた条件・測り方をセットで確かめます。ただ「問い合わせが増えた」とは書かないでください。いつからいつまでを比べたのか、何を問い合わせとして数えたのかまで、本人と確かめます。実際に測れていない数字や、本人が確かめていない因果関係は足さないことが大切です。
編集した原稿は、必ず本人に最終確認をお願いします。「この内容、この名前の出し方、この掲載先でいいか」を一往復で確かめ、同意の記録を残します。健康・美容・金融など、追加の規制がある分野では、使える表現が業界ごとに違います。迷う表現は、所管の窓口や専門家に確かめてください。
信頼を損なわない掲載の許可と表示のルール
ここは法律の判断ではなく、一般的な実務の注意です。個別のケースで迷ったら、専門家に相談してください。
同意の取り方
個人情報保護委員会の個人情報保護法ガイドライン(通則編)は、本人の同意を得る方法の例を示しています。同意書、メール、確認欄へのチェックなどです。実務では、たとえば次のような形が考えられます。
- アンケートのフォームに同意欄をつける
- 最終原稿と掲載の条件をメールで送り、「同意します」と返信してもらう
確かめる項目は、氏名・会社名・役職・写真・ロゴ・載せる文章・掲載先・ほかの用途での利用の範囲・掲載期間です。文章への同意と、写真やロゴを使う許可は、ひとまとめにしないほうが、お互いの認識を合わせやすくなります。
選び方・見せ方
消費者庁のステルスマーケティングQ&Aでは、次の2つが区別されています。
- アンケートの答えを無作為に選び、内容を変えずに引用する場合
- 好意的な答えだけ、良い部分だけを選んで表示する場合
避けたいのは、事業者が選んだり編集したりした表示や、頼んで書いてもらった内容を、お客様が自分から書いた声のように見せることです。
消費者庁のステルスマーケティング規制の説明では、規制の対象は「広告であることが一般の消費者に分からない表示」とされています。お礼、無償の提供、割引などがある場合は、関係が分かる表示をします。内容を決めることに、事業者がどこまで関わったかも含めて判断する必要があります。
一般的な効果として扱わない
個別の体験談は、誰にでも当てはまる効果の裏づけにはなりません。「このサービスを使えば必ず売上が上がる」のような一般化は避け、本人が経験した範囲と、確かめられる事実にとどめます。
Nutritsの事例ページでは、居宅介護支援業のお客様の声として、次の言葉を載せています。
「ホームページを見た方から『安心して頼める』と言っていただけるようになりました」
この声が伝えているのは、このお客様が経験した変化です。売上などの数字は入っていません。
レビューの構造化データについて
Google検索セントラルのReview snippet structured dataの説明に、注意点があります。事業者が自分で管理する、自社へのレビューの扱いです。
こうしたレビューに、レビューの構造化データ(LocalBusinessやOrganization)を付けても、星付きの表示にはなりません。「自己奉仕的なレビュー」とされるからです。
検索結果に星を出す目的のマークアップは、期待できません。ただし、これは自社サイトにお客様の声を載せること自体を否定するものではありません。
出典:Review snippet structured data
申し込みにつなげる見せ方と置き場所
集めた声は、置き場所によって役割が変わります。
- 最初の画面のすぐ下:短い声を少しだけ置き、最初の警戒心をやわらげる
- サービスの説明のすぐあと:そのサービスに対応する声を置き、「本当に自社にも合うか」という疑問に答える
- 料金や申し込みボタンの手前:比べているときの不安と決め手が分かる声を置き、次の行動を判断しやすくする
- 事例ページ:課題、支援の内容、変化、本人の言葉を詳しくまとめ、時間をかけて検討している人に届ける
声を1ページにまとめて終わりにすると、そこまで読み進めた人にしか届きません。判断が起きる場所に分けて置くのがポイントです。
サイト全体の設計から見直したい方は、次の記事も参考にしてください。詳しい見せ方は、Nutritsの事例で実際の構成をご覧いただけます。
載せたあとに見る数字
載せたら、次の数字を見ていきます。
- 置いたページの閲覧数
- お客様の声までスクロールされた率
- 関連する事例のクリック率
- 資料ダウンロードのボタンのクリック率
- 問い合わせフォームまでたどり着いた率
- 問い合わせのときに話に出た声・事例
見えてきた結果によって、直す場所が変わります。
- スクロール率が低い → 置き場所が深すぎるかもしれない
- 声までは届いているのに次の行動が起きない → 内容が読む人とずれているか、ボタンとのつながりが弱いかもしれない
問い合わせフォームに「参考になった事例」を任意の項目として入れると、数字以外の手がかりも拾えます。
よくある質問
お願いを断られたら、どうすればいいですか?
そのまま引き下がって大丈夫です。お願いの文面に「断っても不利益はない」と書くのは、相手のためであると同時に、そのあとの関係を守るためでもあります。くり返し頼まず、必要なら別の機会に一度だけ伺う程度にとどめます。
匿名のお客様の声でも効果はありますか?
実名より情報は減ります。それでも、業種、依頼前の状況、選んだ理由、具体的な体験が分かれば、読む人の判断の材料になります。本当にある声だと疑われないよう、許可を得た実際の声だけを使い、匿名にする範囲を本人と確かめてください。
Googleマップの口コミを、自社サイトに転載してもいいですか?
投稿した人の著作物や個人情報、Googleの利用条件が関わるので、無断で転載する前提にはしないでください。リンクや短い引用で済むかを考え、全文や名前・写真を載せるなら、投稿した人の許可を得るのが安全です。引用として扱う場合も、出典を示し、必要な範囲にとどめます。
集まった声が少なくても、載せていいですか?
件数より、読む人に合う具体的な声かどうかが大切です。数をそろえるために中身の薄い声を並べるのではなく、少なくても「誰の、どんな不安に答える声か」が分かる形から始めます。
悪い評価や指摘も載せるべきですか?
無理に載せる必要はありません。ただ、率直な内容は、サービスの範囲や対応の姿勢を伝える材料になります。たとえば「ここは期待と違ったが、こう対応してもらえた」という声です。載せる場合も、本人の同意と最終確認が必要です。
お礼を渡すと、載せられなくなりますか?
お礼があるから、すぐ載せられなくなる、という単純な話ではありません。一方で、お礼のことを書いただけで必ず適切になるとも限りません。お願いの仕方、内容を決めることへの関わり、表示の方法で判断が変わります。消費者庁の指針と業界のルールを確かめ、自分から書いた声のように見せないことが大切です。
まとめ
お客様の声は、お願い・質問・編集・許可・見せ方・計測までが、ひと続きの運用です。
- 集める前に、読む人と載せる場所を決める
- 断りやすい文面で、ていねいにお願いする
- 時間の流れに沿った5つの質問で、具体的な言葉を引き出す
- 編集は意味を変えず、最終確認を取る
- 判断が起きる場所に置き、数字で調整する
この流れができると、声は少しずつ事業の資産になります。
まずは、この記事のお願いの文面と5つの質問を、1件だけ試してみてください。運用を社内で共有できる形に整えたい方は、Nutritsのサービス資料もあわせてご覧ください。
FREE DIAGNOSIS
無料Web診断で、サイトの課題と改善の優先順位を整理します。
サイトの課題と改善の優先順位を整理してお届けします。無理な営業は行いません。
- 01現状の課題を可視化
- 02改善の優先順位をご提案
- 03最短3営業日でご報告










リクマ
案件が終わったあとに、実績紹介記事、SNS用の素材、提案資料、お客様の声のサマリーをまとめて資産にしていく運用を考えたことがあります。依頼を後回しにすると、どうしても情報が薄れてしまいます。だから納品・振り返り・掲載許可を、案件完了フローの一部としてあらかじめ組み込んでおくのが現実的だと感じています。