「ハンドメイド作品をネットで売りたいけれど、minneとBASEのどちらがいい?」「自分のお店のサイトも作った方がいいの?」。写真や商品説明を用意する前に、売り場選びで手が止まってしまうことはありませんか。
まず考えたいのは、どこからお客様に来てもらい、何点の注文なら無理なく届けられるかです。作品を探す人との接点が欲しいならminne、自分のSNSや実店舗のお客様に買ってもらう場所が欲しいならBASEなどで作る自店のショップが候補になります。さらに独自サイトを整えるかどうかは、今の売り方で足りない機能があるかを見て判断します。
手数料の安さだけで選ぶと、集客や受注管理の負担を見落としがちです。この記事では、ハンドメイドのネットショップ開設から、小さなお店が売り場を併用・移行するときまで、順番に整理します。
minne・BASE・自社ECは、まず役割を分けて考える
最初に押さえたいのは、BASEも自社ECを作る方法の一つだということです。「minne・BASE・自社EC」が、互いに重ならない三つの種類なのではありません。
minneは、作品を探しに来たお客様に出会えるマーケットです。BASEは、自分のお店のネットショップを開設・運営するサービスです。自社ECは自店が運営するネットショップ全体を指し、BASEのようなサービスを使う方法も、別の仕組みで構築する方法も含みます。
ここでは「minneへの出店」「BASEで自店を開設」「必要に応じて独自サイトを拡張」という三つの選択肢で比べます。
| 選択肢 | 向いている状況 | 自分で担うこと |
|---|---|---|
| minneへの出店 | 出品対象に合う作品を、作品探しをしている人に届けたい | 写真・説明・出品の工夫、制作、発送、購入者対応 |
| BASEで自店を開設 | SNSや実店舗などから案内する、自分のお店の売り場が欲しい | ショップづくり、集客経路の整備、商品・注文管理 |
| 独自サイトの拡張 | ブランドの紹介や販売機能に、具体的な不足がある | 要件整理、費用管理、集客、採用する仕組みに応じた保守 |
minneでは販売者登録後、作品やショップ情報を登録し、注文を受けた販売者が発送します。代金の決済はminneが扱います。ただし、出品すれば一定数の人に見られる、必ず売れるという保証ではありません。minneの販売開始ガイド
BASEにもPAY IDなどの集客接点があります。「BASEには集客機能がない」と決めつける必要はありませんが、どの入口から自分の商品を見てもらうかは、お店側でも設計したいところです。
また、ブランドを紹介するホームページと、購入手続きを行うショップを分ける方法もあります。紹介サイトから既存の販売ページへ案内するだけなら、最初から決済機能を独自開発する必要はありません。
自分のお店に合う始め方を、三つの状況から選ぶ
これから最初のお客様を探すなら、作品と売り場の相性を見る
まだSNSの読者や店舗のお客様が少ない段階なら、作品を探している人が訪れるminneは検討しやすい選択肢です。自分の作品に近い用途や価格帯の商品が、どのような写真・説明で紹介されているかを見てみましょう。
ここで確かめたいのは、競合の数だけではありません。「誰が、どんな場面で使うのか」を自分の言葉で説明できるかです。贈り物向けのアクセサリーなら、サイズや素材だけでなく、ラッピング、発送までの日数、届けたい日に間に合うかも判断材料になります。
仕入れ商品を扱う小売店は、そもそもminneの出品対象・販売条件に合うかを先に確認してください。ハンドメイドと一般的な小売を同じ前提で比べないことが大切です。
SNSや実店舗のお客様がいるなら、買いやすい自店の売り場をつくる
「投稿を見た人から購入方法を聞かれる」「店頭で買った方から追加注文が来る」という状況なら、BASEなどで購入先を整える意味があります。お客様がすでにいる場合、最初の課題は知ってもらうことより、欲しい商品へ迷わずたどり着けることかもしれません。
SNSの投稿からショップのトップへ案内するだけでなく、紹介した商品のページへつながるかを確認しましょう。送料がいつ分かるか、在庫があるか、発送予定を読めるかまでスマホで見ます。
一方、フォロワーが多いことと、購入されることは別です。アクセスがあるのに注文が少なければ、販売場所を増やす前に、価格・送料・商品説明・購入手順のどこで迷いが出るかを見直します。
独自サイトの拡張は「何をできるようにしたいか」が決まってから
独自サイトに投資する理由は、「本格的に見えるから」より具体的にした方が、必要な予算を判断できます。たとえば、商品の選び方を詳しく説明したい、店舗情報と商品紹介を整理したい、現在の運用では在庫管理が追いつかない、といった課題です。
その課題が、今のサービスの設定や追加機能で解決できるかを先に調べます。難しい場合に別サービスや構築方法を比較すれば、余分な移行を避けやすくなります。
サービス側が保守する範囲と、お店や制作会社が保守する範囲も確認しましょう。自由に変更できる仕組みほど、更新や不具合への対応を誰が担うかが大切になります。
手数料は、送料・注文経路・運営の手間まで含めて比べる
料率だけでなく、対象の金額と注文の入口を確認する
以下は2026年9月17日に公式情報で確認した条件です。料金は変更されることがあるため、申し込みやプラン変更の前に最新情報を確認してください。
minneの販売手数料は、minne PLUS非会員の場合、作品価格・購入オプション価格・送料の合計に対して10.659%(税込)です。注文ごとに計算し、小数点以下を切り捨てます。有料会員は条件が異なり、振込手数料などは別です。minneの販売手数料/手数料の計算方法
BASEのスタンダードプランは、初期費用・月額費用が0円。通常のWebショップ注文では、送料を含む合計額に対して、決済手数料3.6%+40円とサービス利用料3%がかかります。PayPay・Amazon Pay・PayPalは決済の料率が1%加算されます。BASEスタンダードプラン
さらに、PAY IDアプリからの注文は別の体系で、決済手数料3.6%+40円とサービス利用料5.9%です。同じBASEのお店でも、注文経路を混ぜると比較がずれます。BASEの料金・手数料
商品5,000円・送料500円の注文で比べると
次は実績ではなく、条件を揃えた計算例です。商品5,000円、送料500円、オプション・割引なしで、注文合計を5,500円とします。
| 比較条件 | 注文に対する手数料の計算 | 金額 |
|---|---|---|
| minne PLUS非会員 | 5,500円×10.659%、端数切り捨て | 586円 |
| BASEスタンダード・通常Webショップの標準料率決済 | 決済238円+サービス利用料165円 | 403円 |
この条件での差は183円です。ただし、183円は利益の差ではありません。振込にかかる費用、実際の配送費、材料費、梱包費、制作・受注処理の人件費、広告費などは含めていません。BASEの例はPAY IDアプリ注文や、料率が加算される決済方法を対象にしていません。
自店へ来てもらうための広告や投稿に費用・時間が増えれば、手数料差の受け止め方も変わります。minneの手数料を単なる決済費と考えず、販売場所を利用する費用として検討することも必要です。
月額費用があるプランは、注文構成と一緒に判断する
BASEのグロースプランは、月払いで19,980円(税込)、年払いでは198,960円(税込)、月換算16,580円です。通常のWebショップの標準決済手数料は2.9%で、PayPayなどでは3.9%になります。PAY IDアプリ注文は別体系なので、全売上にこの料率を当てはめないようにします。BASEグロースプラン
固定費を払う方が有利かどうかは、注文金額・件数・経路・決済方法によって変わります。小さなお店では、売上が多かった一か月だけで決めず、通常の月と売れ行きの弱い月の両方で比較すると判断しやすくなります。
費用を整理するときは、売上から材料・梱包・配送・手数料・集客費用を引くだけでなく、制作と運営に何時間かかるかも記録しておきましょう。サイトの月額、ドメイン、追加機能、外注費も含めます。「売れるほど作業時間が足りない」という問題は、手数料の安い売り場へ移すだけでは解決しません。
開設前に、商品ページと発送までの流れを整える
写真と説明で、実物を見られない不安を減らす
ネットショップでは、お客様は作品を手に取れません。きれいな写真に加えて、購入判断に必要な情報を揃えます。
- 全体像と、素材・金具・縫い目など細部が分かる写真
- サイズ感が伝わる写真と、実際の寸法・重さ
- 使用素材、取扱方法、色や形の個体差
- 同梱品、ラッピングの有無、追加料金
- 発送までの日数、配送方法、送料
たとえばアクセサリーなら、長さだけでなく重さや金具の種類も判断材料です。「アレルギーが起きない」など、確認できない安全性を断言するより、使っている素材を正確に伝えます。写真の加工も、実物の色や質感と大きく変わらない範囲に留めましょう。
商品名は、作品名だけで用途が伝わりにくければ、品目や特徴も添えます。ただし、検索語を羅列して長くするより、お客様がどの商品か区別できることを優先します。
一点物と受注制作では、先に売れる数を決める
一点物は在庫数、受注制作は制作可能数が販売の上限になります。売り場の数を増やしても、制作できる量や発送に使える時間は増えません。
受注制作なら、完成済み在庫と注文後に作る商品を分けて表示し、制作から発送までの目安を明記します。「発送までの日数」と「お客様に届く日」は別なので、配送日数も踏まえた案内にしましょう。
忙しい時期に何件まで受けられるか、材料切れのときはどうするか、問い合わせにいつ対応するかも決めておきます。注文が来てから毎回判断する項目を減らすほど、制作の時間を確保しやすくなります。
表示事項と購入の流れをスマホで確認する
事業としてネット販売をする場合は、販売価格・送料、支払方法と時期、引渡時期、返品条件、事業者情報などを確認します。個人であっても、営利目的で反復継続して販売する場合は対象になり得ます。消費者庁・通信販売のルール
商品ページと利用案内だけでなく、最終確認画面で条件を読めるかも見ます。購入者都合の返品と不良品対応を混同せず、「ハンドメイドなので一切対応しません」という説明で済ませないようにしましょう。
最後は、実際に使うスマホで商品選択から注文確定の直前まで進み、送料や合計額、選択した種類、納期を確認します。注文後の通知や入金確認、梱包・発送の担当も決め、必要ならサービスが案内する方法で購入テストを行います。
売上の計上と銀行への入金も同じタイミングとは限りません。材料や梱包材を先に買う場合は、各サービスの入金条件を確認し、次の注文を作る資金まで含めて準備しておくと安心です。
minneと自店のECを併用・移行するときの進め方
1.追加する売り場の役割を一つ決める
「売れないから販売先を増やす」だけでは、同じ課題を複数の場所に持ち込むことになります。たとえば、minneでは新しく作品を探す人に届け、自店のショップでは自分のSNSや店舗から来る人に案内する、と役割を決めます。
このとき、minneで受けた注文をキャンセルして外部で決済し直してもらうような運用は勧めません。受注した場で取引を完結させ、外部リンクや案内の可否は各サービスの規約を確認します。
2.商品を絞って追加し、在庫の割り当てを決める
いきなり全商品を両方へ並べず、継続して用意できる商品など、小さい商品群から試す方法があります。品番、価格、写真、説明の元データを一か所にまとめておくと、修正がばらばらになりにくくなります。
一点物を二つの売り場に各1点ずつ載せると、同時注文が起きたときに足りなくなる恐れがあります。同期できる仕組みを確認できない間は、一つの作品を一つの売り場だけに出す、売り場ごとに在庫を分けるなど、販売数が実在庫を超えない形にします。売れたら手動で消す方法には、反映までの時間差が残ります。
3.購入者への案内と、商品情報の移行を分ける
自分のSNSや店舗のお知らせを更新する一方で、購入者の連絡先をそのまま別サイトの販促リストへ入れないようにします。広告メールは原則として事前の同意が必要です。注文連絡のために得た情報を、新たな宣伝に使うこととは分けて考えます。消費者庁・通信販売のルール
移行前には、商品画像・説明文・注文データをどの形式で取り出せるか、レビューや会員情報を移せるかも確認します。自分で作った商品紹介文でも、移行先の入力項目に合わせた調整は必要になる場合があります。「全部そのまま引き継がれる」とは考えず、少数の商品で確かめましょう。
独自ドメインを使う場合は、契約者と更新費用、管理できる担当者も確認します。お店が継続して管理できる状態にしておくと、将来の変更時に困りにくくなります。
4.完全移行は、売上と運営が回るかを見て決める
新しいショップを開設した直後に、元の売り場を閉じる必要はありません。発送待ちの注文、返品や問い合わせへの対応を整理し、新しい売り場が継続して機能するかを確認してから判断します。
見る項目は、売り場別の注文数・売上だけではありません。どこから来た人が購入したか、手数料などを引いた後にいくら残るか、問い合わせや発送にどれくらい時間がかかったかも確認します。数字が少ないうちは、短期間の上下だけで良し悪しを決めないことも大切です。
アクセサリー販売の事例から、サイト以外の準備も考える
Nutritsのアクセサリー販売のオンライン展開支援事例では、オンライン販売の立ち上げに加え、販売ジャンルの整理、商品ページやEC運用の改善、LINEを使った顧客接点の整備を紹介しています。
ここで参考にしたいのは、商品を並べるだけで終わらず、何を販売し、どう購入につなげ、購入後にどのような接点を持つかまで整えている点です。特定のサービスを選ぶことだけで、同じ成果を得られるわけではありません。
小さなお店でも、販売場所を決めることと、何をどう見せ、購入後につながりを持つかを考えることは一緒に進められます。作る前なら必要な販売の流れを整理し、すでにショップがあるなら、商品ページや購入までの流れを見直すところから始めましょう。
具体的な支援範囲は、EC・店舗送客支援で確認できます。ECサイト・商品ページの改善、LINEの導線設計、データを見ながらの改善を案内しています。
よくある質問
BASEでも独自ドメインを使えますか?
外部で取得した独自ドメインを「独自ドメイン App」で設定できます。対応する形式や設定条件があり、ドメイン取得・更新の費用も別途確認が必要です。独自ドメインを使うためだけに、別のECシステムへ移る必要があるとは限りません。BASEの独自ドメイン設定
月商いくらになったら、自店のECへ移るべきですか?
一律の金額では決められません。自分で集客できる経路、販売ごとの採算、在庫・発送を管理する余力、今のサービスで不足する機能を確かめます。料金プランを変える判断と、販売先そのものを移す判断も分けましょう。
一点物をminneとBASEの両方に出しても大丈夫ですか?
出品条件の確認に加え、売り越さない在庫管理が必要です。同時注文に対応する同期の仕組みが確認できない場合は、同じ一点物を一つの売り場だけに出す方法が安全です。売れた後にもう片方を手動で取り下げるだけでは、時間差による重複注文を防ぎ切れません。
個人のハンドメイド販売でも、販売者情報の表示は必要ですか?
個人であっても、業として反復継続して販売する場合は特定商取引法の対象になり得ます。住所などの非公開機能を利用できるかは条件があるため、販売サービスの案内と消費者庁の説明を確認してください。通信販売の表示事項
まずは、続けられる一つの売り場から
ハンドメイドや小さなお店のECサイトは、最初から大きく作り込む必要はありません。minneで作品を探す人に届けるのか、BASEなどで自分のお客様の購入先を整えるのか。まず役割を決め、写真・説明・在庫・発送の準備を揃えましょう。
今日始めるなら、販売したい商品を一つ選び、「誰をどこから案内するか」「送料込みでいくら受け取り、費用を引くと何が残るか」「注文から何日で発送できるか」を書き出してみてください。この三つが見えると、必要な売り場や機能を選びやすくなります。
販売開始や既存ショップの改善を具体的に考えたい方は、アクセサリー販売の支援事例を見るところから。対応できる内容は、EC・店舗送客支援の内容を確認するでご案内しています。


リクマ
私のひとこと 最初の売り場は、「今のお客様を一人、どこから案内するか」を具体的に描ける方を選ぶと判断しやすいです。入口がまだ見えないときは、サイトの機能を増やす前に、誰に何を届けるかを絞ってみてください。