LINEでの会話から住宅の内見へつなぐ、スマートフォンと開いた玄関のイメージ。

問い合わせには返信したのに、その後の連絡が続かない。物件を何件も送っているけれど、内見につながらない。不動産会社のLINE追客で見直したいのは、送信回数よりも「今のお客さまが、次に何を決められるか」です。

希望条件の確認、物件の比較、内見日程の調整、内見後の相談を分けて、各段階で一つだけ答えやすい質問を送る。 そして担当者と次回の対応予定を残す。この二つが、少人数でも追客を続ける土台になります。

この記事では賃貸仲介を中心に、LINEへの案内方法、状態の管理、連絡文例、追客を止める判断まで整理します。売買にも応用できますが、検討期間や連絡頻度は相手に合わせてください。LINEを導入するだけで成約率が上がる、という意味ではありません。

追客の目的は、お客さまの判断を一つ先へ進めること

「その後いかがですか」だけでは、相手は何を答えればよいか迷います。物件を決められない理由が、初期費用なのか、通勤なのか、入居時期なのかによって、必要な情報は変わります。

まず問い合わせ内容への回答を優先し、次に不足している情報を一つ聞きましょう。すでにフォームで受け取った条件を最初から聞き直さず、「いただいた条件では、駅からの距離と広さのどちらを優先しますか」のように比較を助けます。

内見を急いでいない人には、内見予約を繰り返し勧めるより、探し始める時期や次の連絡時期を相談します。売買で家族の意見調整が必要な場合も、賃貸の短い検討期間を前提にした連絡を当てはめないことが大切です。

LINEへ案内するときは、利用目的と最初の一言を伝える

追加するメリットを具体的にする

Webサイトや問い合わせへの返信でLINEを案内するなら、「LINEはこちら」だけでなく、「物件についてのご質問や内見候補日の相談ができます」と、できることを示します。もとの問い合わせへの回答を後回しにして、LINE追加だけを求めないようにしましょう。

また、友だち追加だけで、もとの問い合わせとLINEの表示名が自動的に結び付くとは限りません。「お問い合わせの物件名を一言お送りください」など、照合に必要な最小限の情報を案内します。LINEを希望しない人には、本人が希望したメールや電話で対応を続けます。

LINE公式アカウントのチャットは有効化が必要です。未認証アカウントでは、メッセージを送ったことのあるユーザーのチャットルームのみが表示されます。まず相手に一言送ってもらう導線を用意すると、会話を始めやすくなります。友だち追加をしていない人への返信には、最終受信から7日以内という制限もあります。公式チャットマニュアル

自動の受付返信と、担当者の回答を分ける

営業時間外は、受け付けたことと次の対応時間を伝えます。自動返信で空室や内見を確約せず、確認後に担当者が回答する運用にします。「すぐ返します」と約束するより、自社が守れる対応時間を明記するほうが誤解を減らせます。

リクマ

リクマ

LINEへの移動で会話が途切れるなら、追加ボタンより先に「移動したあと何を送ればよいか」を見直すのがおすすめです。お客さまに同じ説明をもう一度させない入口を作りたいですね。

追客の状態を5つに分け、次の対応を残す

無料範囲のチャット機能では、作成できるタグは5種類、各チャットルームに付けられるタグは1つ、ノートは1件です。担当者の設定もできます。以下は、この範囲で始めるための運用例です。複数の条件タグを同時に付ける方法ではありません。タグ・ノート・担当者の公式仕様

現在のタグ 確認したいこと 担当者が行う次の対応
条件確認 問い合わせ物件と優先条件 未確認の条件を一つ聞く
提案中 候補物件の違いと迷っている点 比較材料を送り、内見の意向を確認する
内見予定 確定した日時・場所 集合案内と変更方法を伝える
内見後 良かった点と気になる点 懸念を確認し、次の相談へ進める
終了 成約・見送り・連絡停止の別 理由を記録し、追客対象から外す

タグは現在の段階を一つ選び、進んだら担当者が更新します。「内見予定」は候補日を送っただけで付けず、相手と日程を合意してから付けます。終了の理由はノートや既存の顧客台帳に残し、成約と見送りを同じ成果として数えないようにします。

ノート1件には、希望条件、直前の相談内容、次回の連絡予定、連絡停止の希望を短くまとめて更新します。担当者は担当者欄で明確にし、休みの日に誰が代わるかも決めておきます。未返信の確認や期限の管理は、実際の管理画面で使える対応状態や既存台帳を併用してください。タグだけで連絡漏れの通知まで自動化できるとは考えないことが大切です。

問い合わせから内見後まで、状況別のLINE文例

以下は実際の顧客対応を転載したものではなく、編集上の文例です。営業時間、物件の状況、約束した内容に合わせて調整してください。空室確認や予約枠の確保を済ませていない段階では、確定したように送らないでください。

初回返信:質問に答えてから、一つ聞く

空室確認中の例です。

「お問い合わせありがとうございます。ご希望の物件は現在、募集状況を確認しています。確認でき次第こちらでご案内します。差し支えなければ、ご希望の入居時期を教えていただけますか。」

すでに入居時期を受け取っているなら、別の未確認事項に置き換えます。確認に時間がかかる場合は、自社で守れる次の報告時刻も伝えましょう。募集が終わっていたときは、その事実を先に伝えてから、近い条件の物件を提案してよいか聞きます。

内見の調整:選択肢と確定の手順を示す

案内可能な時間帯を確認したうえで、候補を聞く例です。

「内見をご希望でしたら、今週の土曜午前と日曜午後のどちらがご都合よさそうでしょうか。ほかの日時もご相談いただけます。ご希望を伺ってから、物件側の予定を確認し、確定日時をご連絡します。」

相手の返答だけで予約完了にせず、物件側と社内の予定を確認して、日時と集合場所を改めて伝えます。確定時には、来店か現地集合か、所要時間の目安、変更する場合の連絡先をまとめると、次のやりとりを減らせます。

内見前:確定した案内に沿って変更の有無を聞く

「明日の内見について、ご予定に変更はございませんか。集合場所は、先ほどお送りした案内のとおりです。変更や道順のご相談がありましたら、このトークでお知らせください。」

この文例は、日時や集合場所をすでに案内した場合に使います。予約確定時のメッセージを確認し、必要なら案内を再送してください。一斉配信ではなく、その予約に対応する個別連絡として扱います。

内見後:申し込みを迫る前に、迷っている点を聞く

「本日は内見ありがとうございました。ご覧になって、良かった点と気になった点をそれぞれ一つ教えていただけますか。費用や設備など、確認が必要な点を整理してご案内します。」

申込意向が明確なら、必要な手続きへ進みます。迷っている場合は、追加確認で解消することと、別の物件を探す必要があることを分けます。未確認の競合状況を使って「今決めないとなくなります」と急がせないようにしましょう。

返事がないとき:再確認と連絡終了を一組にする

再確認の例です。

「先日ご案内したお部屋について、その後のご希望はいかがでしょうか。条件の変更や、お探しになる時期が変わった場合もお知らせください。ご案内が不要でしたら、その旨を一言いただければ連絡を停止します。」

その後も返事がない場合の例です。

「ご状況が変わっているかもしれませんので、こちらからのお部屋探しのご案内はいったん控えます。また必要になりましたら、このトークからお声がけください。」

たとえば、返信待ちになってから2〜3営業日後に一度確認し、それでも反応がなければ終了を案内する、という社内ルールを置けます。これは業界共通の最適日数ではなく、運用を決めるための例です。相手と次回連絡日を決めている場合はそれを優先し、停止を求められたら直ちに追客を止めます。停止希望が届いた後に、上の終了文例まで重ねて送る必要はありません。

既読は、内見や契約への意思表示ではありません。「既読になっていますが」と返答を迫ったり、希望されていない電話に切り替えたりせず、相手が選んだ手段とタイミングを尊重しましょう。

自動化するのは共通案内から。物件と予約の判断は人が持つ

LINE公式アカウントのステップ配信は、友だち追加後に用意した内容・タイミング・期間で自動配信する機能です。内見までの一般的な流れなど、個別状況に依存しない案内が候補になります。ステップ配信マニュアル

一方、空室確認、条件に合う物件の選定、予約の確定、内見後の個別相談は、担当者が状況を見て進めます。「追加から3日後」と「内見前日」は別の条件です。日数だけで送る設定では、すでに予約した人にも内見のお誘いが届く可能性があります。

予約済み・成約済み・連絡停止を配信対象から外す方法まで確認できないうちは、個別追客を手動にしておくのが現実的です。外部ツールを検討する場合も、顧客状態の更新、配信の除外・停止、担当者への引き継ぎが実際にできるかをテストしてから使いましょう。

料金上も、個別チャットの送受信と、ステップ配信などのメッセージ配信は扱いが異なります。チャットの送受信は料金プランの配信通数に含まれず、ステップ配信は含まれます。外部ツールの利用料とは別なので、契約前に公式の料金・通数説明を確認してください。

配信機能の役割を先に整理したい方は、店舗向けの基礎記事も参考になります。不動産の個別追客では、そこで扱う再来店施策とは目的を分けて考えましょう。

リクマ

リクマ

自動化のテストでは「予定どおり届くか」だけでなく、「もう送らなくてよい人に届かないか」まで確認したいです。送る条件と止める条件を一組で決めておくと、運用を見直しやすくなります。

担当者と個人情報の扱いを、運用開始前に決める

不動産の相談では、氏名だけでなく、希望地域や家族構成などの情報を扱うことがあります。質問を増やす前に、その段階で本当に必要な情報かを確認してください。

本人が入力する形で個人情報を直接取得する場合は、原則として利用目的を事前に明示する必要があります。フォームやLINEへの案内から、問い合わせ対応・物件提案などの利用目的を確認できるようにします。個人情報保護委員会のガイドライン

実務では、会社で管理するアカウントを使い、閲覧・操作できる人、担当交代の手順、保存期間を決めます。退職や異動があれば権限を見直し、個人の端末やメモに情報が散らばらないようにしましょう。本人確認書類などは、安易にトークへの送付を求めず、社内で承認された提出方法へ案内します。

成果は、同じ問い合わせ集団の「次に進んだ件数」で見る

友だち数だけでは追客の成果を判断できません。まず同じ月に問い合わせた顧客を対象に、次の件数と割合を並べます。同じ人の複数物件への問い合わせは、顧客単位で重複を除きます。

  • LINE会話開始率:LINEで会話を始めた顧客数 ÷ LINEを案内した顧客数
  • 内見予約率:内見を予約した顧客数 ÷ LINEで会話を始めた顧客数
  • 内見実施率:内見を実施した顧客数 ÷ 内見を予約した顧客数
  • 成約率:成約した顧客数 ÷ 内見を実施した顧客数

これはLINE追客の流れを振り返るための定義例です。予約・実施・成約は、それぞれ前段階に含まれる同じ顧客を数えます。全問い合わせを分母にする会社全体の成約率とは区別してください。LINE管理画面だけで契約まで自動集計できるとは限らないため、既存の顧客台帳と照合します。

比較するときは、問い合わせ後30日間など追跡する期間をそろえます。売買では自社の検討期間に合う期間を選び、まだ検討中の人を失注にしないようにします。少人数なら率だけで判断せず、分母・分子の件数も併記しましょう。

会話が始まらないなら追加後の案内、予約につながらないなら提案内容や候補日の出し方、内見後に止まるなら懸念点への回答を確認します。数字は担当者を急かすためではなく、どの場面を直すか決めるために使います。

不動産会社のLINE追客でよくある質問

無料の範囲でも始められますか?

個別チャットと、無料範囲のタグ・ノートを使った管理から始められます。一斉配信やステップ配信には通数の上限があるため、配信量と利用機能を確認してください。

追客は毎日送ったほうがよいですか?

毎日の送信を標準にせず、回答すべき内容や約束した連絡日に合わせます。返答がない場合も連絡を重ね続けず、再確認と停止の基準を決めましょう。

内見予約は自動で確定できますか?

候補日の受付と予約確定を分けて考えます。物件側と社内の予定を確認する運用なら、担当者が確定を連絡します。予約システムと連携する場合は、その仕組みでできることを別途確認してください。

LINEを使いたくないお客さまにはどう対応しますか?

LINEへの移動を必須にせず、本人が希望するメールや電話で対応します。連絡停止の希望は担当者間で共有し、別の手段で追客を続けないようにします。

最初に整えるのは、初回返信と次回の対応予定

まずは、問い合わせに答える初回文、5つの状態タグ、担当者と次回対応の記録から始めましょう。送信文を増やす前に、今日対応すべき人と、すでに連絡を止めるべき人が分かる状態を作ります。

ホームページからLINEへの案内や、問い合わせの入口から見直したい場合は、Nutritsのホームページ制作・Web改善事例をご覧ください。Web上の情報や導線を整理した事例として紹介しており、LINE追客の成約実績を示すものではありません。

自社ではどこから改善すべきか迷う場合は、お問い合わせフォームから、現在の問い合わせ方法と困っている場面をお知らせください。

※機能・利用条件は2026年9月25日に公式情報を確認しています。導入時には最新の案内をご確認ください。