「ヘルパーを採用したい。でも、利用の相談も増やしたい」。介護事業所のホームページを考えるとき、この二つをどう並べるかで迷うことがあります。
採用情報を目立たせると、家族向けの説明が探しにくくなる。サービス紹介を充実させても、求職者が知りたい働き方が伝わらない。情報が足りないというより、見る人ごとの道筋が整理されていないのかもしれません。
両立の基本は、一つのホームページの中で「利用者・家族」「ケアマネジャー」「求職者」の入口を分けることです。 それぞれに必要な情報と相談窓口を用意し、事業所の方針やスタッフ紹介は共通の信頼材料として使います。
この記事では、訪問介護を中心に、必要なページ、採用情報、受入状況の伝え方、公開後の更新を整理します。ホームページだけで人員不足を解消できるわけではありませんが、相談や応募の前に生まれる迷いは減らせます。
採用と利用者集めを両立するには、3つの入口をつくる
最初に考えたいのは、事業所が伝えたいことよりも、訪問者が何を確かめに来るかです。同じ「安心できる事業所を探す」という目的でも、家族と求職者では判断材料が違います。
| 見る人 | 先に知りたい情報 | 次の行動 |
|---|---|---|
| 利用者・家族 | 頼める内容、対応地域、料金、利用までの流れ | 利用について相談する |
| ケアマネジャー | 対応できる条件、受入状況、連携方法 | 紹介・受入について連絡する |
| 求職者 | 仕事内容、募集条件、支援体制、働き方 | 見学を相談する・応募する |
この整理はサイト設計の一例です。ケアマネジャー向けに大きな専用サイトを作る必要はなく、「受入状況・連携のご相談」という見出しやボタンから必要な情報に進めれば構いません。
同じ「介護」でも、サービスの違いを明確にする
訪問介護と居宅介護支援は、同じサービスではありません。訪問介護は、自宅での身体介護や生活援助を提供するサービスです。居宅介護支援は、ケアマネジャーによるケアプラン作成や関係機関との連絡調整などを担います。通所介護を併設している場合も、それぞれの利用方法を分けて説明します。
法人として複数のサービスを運営していても、トップページにまとめて「介護なら何でも」と書くと、相談先が分かりにくくなります。「どの事業所が、どの地域で、何を提供するか」を名前と一緒に示しましょう。訪問介護の基本的なサービス内容は、介護サービス情報公表システムの解説でも確認できます。
最初にそろえたい7つのページとトップページの構成
新しく作るなら、次の7つを情報の置き場所として考えると整理しやすくなります。これはページ数の義務ではありません。小規模な事業所なら、一つのページの中で見出しを分けても対応できます。
- トップページ:提供サービスと地域、3つの入口を示す。
- サービス・料金:頼める内容、対応できる範囲、費用の考え方を伝える。
- 対応地域・受入状況:訪問できる地域と、相談可能な曜日・時間帯などを案内する。
- 事業所・スタッフ紹介:運営法人、方針、担当者、連絡先をまとめる。
- 採用情報:現在募集中の職種、条件、働く様子、応募方法を載せる。
- 重要事項・各種方針:重要事項、個人情報の取扱いなどを確認できるようにする。
- 問い合わせ:利用相談、連携相談、採用の連絡先を案内する。
「理念」「代表あいさつ」「お知らせ」だけで上部が埋まると、急いで連絡先を探す人は困ります。トップページは、サービス名・対応地域、その次に目的別の入口を置き、方針やスタッフ紹介へ続けると考えやすくなります。
たとえば入口の文言は「サービスの利用をご検討の方」「ケアマネジャーの方」「働くことをご検討の方」。リンク先の最後にも、その目的に合った相談ボタンを置きます。すべてを同じ「詳しくはこちら」にせず、押した先で何ができるかを示すのがポイントです。

既存サイトは、入口と情報の並び替えから始める
すでにホームページがあるなら、最初から全面リニューアルと決めなくても大丈夫です。採用情報の内容が古い、電話番号が見つからない、対応地域が書かれていない、といった問題は、該当箇所の修正で改善できる場合があります。
一方で、法人内の複数事業所の情報が混ざっている、管理者しか更新できない、スマートフォンで文章が読めない場合は、構成や更新方法から見直す必要があります。見た目の好みと、使ううえでの不具合を分けて整理しましょう。
利用者・家族・ケアマネジャーが相談しやすい情報
利用者集めを考えるときは、アクセスを増やす施策の前に、「この事業所へ相談してよいか」が判断できる状態を作ります。紹介を受けた家族が事業所名を検索した場合にも、同じ情報が役立ちます。
サービス内容と料金は、前提まで説明する
サービス名だけでは、初めて介護を検討する家族に伝わりにくいものです。身体介護なら食事や入浴などの支援、生活援助なら掃除や調理など、日常の場面で説明します。そのうえで、実際に提供する内容は本人の状況やケアプランなどを踏まえて相談することを添えます。
「家事は何でも対応」「どの時間帯でも訪問可能」のような表現は、実際の提供範囲と一致しないなら避けましょう。対応できない相談が増えると、家族にも現場にも負担がかかります。保険外のサービスがある場合は、介護保険のサービスと区別し、内容と費用を別に案内します。
料金は、最も安い金額だけを大きく見せないことが大切です。介護保険サービスの利用者負担は原則1割で、一定以上の所得がある人は2割または3割です。掲載する料金表には、サービス内容・時間、地域区分、加算、負担割合など、金額を読むための条件と適用時点を添えます。具体的な利用内容が決まる前の概算と、契約に向けた説明も分けましょう。利用者負担の基本は公表システムの解説を参照できます。
利用までの流れも、初回相談、担当者による状況確認、ケアマネジャー等との調整、説明・契約、利用開始という順序を、事業所の実際の運用に合わせて載せます。担当ケアマネジャーがまだいない人には、市区町村の相談窓口や地域包括支援センターなどへ相談する方法も案内すると親切です。
受入状況は「空きあり」だけで終わらせない
訪問介護の受入可否は、人数だけで決まりません。地域、曜日、時間帯、支援内容、移動の組み合わせによって変わります。ケアマネジャー向けには、確認した日付と、相談可能な条件を一緒に示すと連絡しやすくなります。
たとえば「午前の訪問について相談可能」という案内にも、対象地域や曜日、最終的には個別確認が必要なことを添えます。このような表現は記載例であり、実際に対応できる条件へ置き換えて使ってください。ウェブ上の表示を、利用枠の確約や即時予約と誤解させないようにします。
頻繁な更新が難しければ、無理に細かい空き枠表を作らず、「受入状況は担当者へお問い合わせください」と窓口と受付時間を明示する方法もあります。止まったままの空き状況より、正しく確認できる連絡先のほうが役立ちます。
写真は安心感と個人情報の両方を考える
スタッフや事業所の写真は、相談相手の雰囲気を伝える材料になります。ただし、利用者が写る写真を気軽に掲載してよいわけではありません。個人情報保護委員会は、個人を識別できる利用者写真をホームページ等で第三者の閲覧に供する際は、本人の同意が必要としています。個人情報保護委員会Q4-15
掲載用の写真は、使用する媒体や目的を説明し、確認した範囲を記録して管理しましょう。顔を隠しても、自宅の外観、名札、書類などから個人が分かる場合があります。判断が難しい素材は使わず、スタッフが説明する場面や、個人情報が写らない事業所の写真でも伝えられます。
求職者が応募を判断できる採用ページ
採用ページでは、「温かい職場です」という言葉に加えて、その働き方が自分に合うかを判断できる材料を用意します。きれいな写真だけでなく、条件と仕事の進め方が分かることが応募の前提になります。
条件と、一日の仕事をセットで見せる
まず、募集中の職種・雇用形態を分け、仕事内容、必要な資格、就業場所、勤務時間、休日、賃金、保険、試用期間などを整理します。募集を終了した職種は、その状態も分かるように更新します。
訪問介護では、移動や記録の時間、直行直帰の可否、訪問先で困ったときの連絡方法も判断材料になります。「研修あり」なら、同行訪問や独り立ちまでの確認をどのように行うのか、実施している範囲で説明してください。
一日の流れを載せる場合も、すべての職員が同じ働き方をするように見せないことが大切です。常勤の例なのか、登録ヘルパーの例なのかを明記し、訪問、移動、記録、休憩がどう組み合わさるかを示します。予定変更時の連絡方法など、仕事を続けるうえでの不安にも答えられます。
給与は、基本給と手当、固定残業代がある場合の内訳や条件などを分けます。特定の資格・勤務条件で得られる額を、全員に当てはまるように表示しないでください。資格取得支援や柔軟な勤務も、対象者と利用条件を説明できる制度だけを掲載します。
募集時に必要な情報を確認し、求人媒体とそろえる
2024年4月から、募集時等に明示すべき事項に、業務の変更範囲、就業場所の変更範囲、有期労働契約を更新する場合の基準が追加されています。更新基準には、通算契約期間や更新回数の上限も含まれます。ホームページの求人情報も、厚生労働省の案内に沿って確認しましょう。
ここでの説明は追加された項目の概要で、必要な募集条件のすべてではありません。また、採用ページへの記載だけで契約時の労働条件通知まで完了するわけではありません。ホームページ、求人媒体、面接での説明に食い違いがないよう、採用担当者が同じ原稿を基に管理します。
見学相談と正式応募の入口を分ける
「まず話を聞きたい」という人にも、最初から履歴書の提出を求めると負担になります。見学や仕事説明を実際に受け付けられるなら、その相談ボタンを用意し、正式応募とは区別しましょう。
ただし、見学対応の人員がいないのに「いつでも見学できます」と約束する必要はありません。相談可能な方法、日程調整の手順、連絡を返す担当者を決めてから案内します。応募を受ける画面だけでなく、受け取った後の動きまで含めて採用ページです。
重要事項のウェブ掲載と、スマホで迷わない相談窓口
重要事項は、必要な人が最新版を読める場所に置く
指定訪問介護の運営基準には、重要事項を原則としてウェブサイトへ掲載する規定があります。2025年度からの対応として、法人のホームページ等のほか、介護サービス情報公表システムへの掲載が示されています。厚生労働省・第32条、静岡市の案内
これは、すべての事業所に独自ホームページの新設を求めるという意味ではありません。対象・例外や具体的な掲載方法は、サービス種別と事業所を所管する指定権者の案内で確認してください。
ホームページに載せるなら、「重要事項・各種方針」など探しやすい場所にまとめます。PDFには対象事業所と版・更新日が分かる名前を付け、リンクを開くと別事業所の古い資料が出る、といった間違いを防ぎます。スマートフォンでも重要な情報を探せるよう、PDFへのリンクだけでなく、何の資料かを説明する短い案内を添えると読みやすくなります。
窓口の分離は、担当者まで届く仕組みとセットにする
利用相談、連携相談、採用で別フォームを用意するか、一つのフォームで相談種別を選べるようにします。電話窓口が共通でも、「採用については採用担当へ」と案内すれば、連絡する側の迷いを減らせます。
初回フォームの項目は、氏名、返信先、相談種別、概要など、対応の開始に必要な範囲から検討します。利用相談で病歴や介護記録の添付、見学相談で履歴書などを一律必須にせず、詳しい情報は用途と安全な受け渡し方法を確認してから扱う設計がよいでしょう。
電話には受付時間を添え、フォームには返信の目安を実際の対応体制に合わせて記載します。通常の相談フォームを緊急連絡先と誤解させないことも大切です。契約済み利用者への緊急時の案内は、事業所の運用に沿って別に整理します。
公開前にはスマートフォンで、文字の読みやすさ、ボタンの押しやすさ、電話リンク、入力エラー、送信完了画面、担当者への受信まで確かめます。フォームの詳しい比較は、問い合わせフォームの作り方でも整理しています。
公開後は「採用」「利用相談」を分けて改善する
更新は、変更が起きたときの連絡を決めておく
更新頻度は、ブログを何本書くかだけでは決まりません。募集条件が変わった、受入状況が変わった、連絡先や重要事項を改めた、といった変化をサイトに反映できることが先です。
運用の一例として、採用担当は募集条件、管理者は受入状況、資料の確認担当は重要事項を見直し、更新担当へ連絡する分担を決めます。小さな事業所では兼任でも構いませんが、誰が承認するかは明確にします。
加えて月1回、リンク切れ、募集終了の表示、フォームの受信、写真の掲載状態などを点検する時間を設けると、取り残された情報を見つけやすくなります。月1回は運用例であり、法定の頻度ではありません。ホームページの更新頻度の考え方も参考にしてください。
アクセス数より、目的に合う相談へ進んだかを見る
採用と利用相談を一つの「問い合わせ件数」にまとめると、何を直せばよいか分かりにくくなります。最低限、次の流れを分けて把握しましょう。
- 採用:応募があった件数、そのうち面談へ進んだ件数、採用に至った件数。
- 利用相談:相談があった件数、そのうち対応可能だった件数、利用開始に至った件数。
見学相談は応募と区別し、同じ人からの複数の連絡を重複計上しないルールも決めます。電話ボタンのクリック数は連絡への関心を示す指標ですが、実際につながった電話や利用開始と同じではありません。
対応できなかった場合は、地域、時間帯、人員、必要な支援内容など、理由を集計します。ホームページの改善用には、個人名や詳しい健康情報を持ち込まず、必要な範囲で件数と理由を扱えば十分です。
人員不足で相談を受けきれない時期は、応募後の対応と採用情報の整備を優先する。新しい時間帯の受入が可能になったら、その条件を家族・ケアマネジャー向けに反映する。ホームページの重点を、現場の体制と一緒に見直します。
制作会社へ頼む前に準備するものと事例の見方
制作の相談前に、すべての文章を完成させる必要はありません。ただし、次の資料と確認担当が分かると、作る範囲や優先順位を決めやすくなります。
- 現在のサービス案内、対応地域、料金表、重要事項などの最新版。
- 募集中の職種と条件、働き方、研修について説明できる資料。
- 使用許可を確認した写真と、撮影が必要な場所・場面。
- 現在困っていることと、優先したい相談や応募の種類。
- 各情報の確認担当と、公開後に更新を担当する人。
見積もりではページ数だけでなく、情報整理、原稿作成、撮影、フォーム設定、更新方法の説明、公開後の修正まで、何を含むかを比較します。サーバー・ドメイン等の維持費、継続支援の料金、追加更新の費用や対応範囲も分けて確認しましょう。
事例を見るときも、見栄えに加えて「誰の迷いを、どの情報で減らしたか」に注目します。Nutritsの居宅介護支援事業のホームページ制作・改善事例では、サービスや対応範囲、事業所の考え方の整理、スタッフ等の紹介、問い合わせ導線の整備を紹介しています。
この事例は居宅介護支援業のもので、訪問介護の採用数や利用者数が増えたことを示す事例ではありません。参考にできるのは、相談前の不安に応える情報と窓口を整える考え方です。
自事業所のページ構成や更新方法を相談したい場合は、ホームページ制作のサービス内容を確認したうえで、Nutritsへ問い合わせることができます。既存サイトがあれば、そのURLと「採用」「利用相談」のどちらを先に改善したいかを添えると、課題を共有しやすくなります。
よくある質問
採用サイトは、事業所のホームページと分けたほうがよいですか?
まずは同じサイト内に採用ページを設け、利用相談の入口と分ける方法で検討できます。複数拠点・多数の職種を募集し、応募管理や更新担当も独立するなら、別サイトを検討する理由になります。分けた後に両方の条件を最新に保てるかまで考えて判断しましょう。
利用者が紹介中心でも、ホームページを整える意味はありますか?
紹介された後に、家族が事業所やサービスを確かめる場として使えます。検索から新規相談を集めることだけを目的にせず、紹介元と家族が同じ情報を確認できる案内先として整える方法があります。効果は相談経路を聞き取り、自事業所で確かめていきます。
制作費は、どのように比較すればよいですか?
必要なページと作業をそろえ、初期制作費、維持費、更新・保守の範囲を分けて比較します。写真・原稿を事業所が用意するのか、制作側が支援するのかでも変わります。金額だけでなく、公開後に採用条件や受入状況を誰が更新できるかも確認してください。
まずは「入口・判断材料・更新担当」をそろえる
採用と利用者集めを両立するホームページは、情報をただ増やすだけではできません。見る人に合った順序で、必要な情報と連絡先を見つけられることが基本です。
最初は、トップページに3つの入口があるか、サービスと募集条件が現在の状態と合っているか、変更時に更新する担当が決まっているかを確認してみてください。この3点が見えると、小さな修正で足りるのか、構成から作り直す必要があるのかも整理しやすくなります。
参考情報
制度・公式資料の確認日:2026年9月17日。掲載対象や具体的な手続きは、事業所を所管する指定権者等の最新案内も確認してください。




リクマ
採用を優先する時期でも、利用相談の入口は残しておきたいです。二つを同じ大きさで並べ続けるより、今の受入体制に合わせて目立たせ方を調整するのがよいと思います。